" 残り1ヵ月 " 監督・榎本雅之


こんにちは!
今回は、いつも私たち滋賀経サッカー部を指導し、支えてくださっている監督・榎本雅之先生にブログを書いていただきます。



滋賀大経済・DS学部サッカー部の学生の関係者の方々並びにOB・OGの方々、平素はサッカー部の活動にご理解、ご協力いただきありがとうございます。サッカー部の顧問兼監督の榎本と言います。経済学部社会システム学科に所属、経済学部、DS学部の必修科目の「スポーツ科学」や経済学部の「スポーツ文化論」などの授業を担当しています。
自由に書いて下さい、という依頼だったので、自分のこととチームのことを。執筆前に4回生のブログリレーの記事を読んで、何とも言えない気持ちになりました。みんなと一緒にサッカーができて良かった、ありがとう。直接は言いません。 






2004年3月 追いコン
「俺が一番上手くなった」
自分が所属していた、当時の金沢大学体育会サッカー部の追いコンでは、4年生が現役生に対してメッセージを送る。その時、自分が一番上手くなったと話した同回生が二人いた。対して、自分は?一年の時が一番充実していた。二人の言葉を聞いて、瞬間的に感じた。大学4年間、どう過ごしたか、どう過ごすべきだったのか。
背伸びして県下で優勝できる高校に進んだ。一年生の時、上級生や同級生のレベルの高さに衝撃を受けた。技術的には劣っていたから、勝負できるのは、速さ、運動量、戦う気持ち。アピールできるのは、フィジカル系のトレーニングの時。誰にも負けないことだけを目標に、罰走でもアピールのチャンスと思って取り組んだ記憶がある。結果、自分が思っていたより早い段階で、トップチームで試合に出ることができた。試合に出ることで、できることとできないこともわかってきて、当時の自分なりに改善しようとチャレンジした。そんな毎日を過ごした結果、高校の同級生の中で「俺が一番上手くなった」と思えるほど、サッカーに向き合うことができた。

大学と高校の違い。自分の大学サッカーは、勝ちたいということばかりで、上手くなりたい気持ちが欠けていた。今ある自分の力を工夫することで、勝とうとし続けた4年間だった。できることとできないことを整理して、チーム全体で戦おうとした。当時の自分としては、チームワークで戦うことが正しいと思っていた。仲間が自分の弱点を補ってくれる。そんなストーリーを持っていたと思う。

できないことに向き合って乗り越えようとした高校時代、できないことを整理して今ある力で戦おうとした大学時代。どちらも同じ、一生懸命サッカーに取り組んだ。ただ、もっと上手くなれたかもしれない。そんな風な時間を過ごした大学サッカーを、できることならもう一度やリ直して、「俺が一番上手くなった」と言いたい。



日本一成長できるチーム
自分の生活は、アイルランドのスポーツ研究、大学の講義、家族との生活、そして滋賀大学経済・DS学部サッカー部での指導、この4つで構成されている。毎日、この4観点のto doリストがある。でも、このto doリストをこなすだけなら、自分じゃなくてもできる。そうはしたくない。自分だけができることをしたい。そのためにどうするか。最上級と最新を追い続け、自分の中に落とし込み、周りに還元すること。成長するしかない。

成長。知識を増やすことや身体機能を高めることは努力すればできる。学び続けること、今の自分を超える習慣作りをすること。こういったことは成長のための必要条件。もう一つ大切なのは、殻を破ること。本気で向き合って、責任や緊張の重圧をはねのけて、挑戦することで殻を破ることができる。これまで大きく成長したサッカー部の学生を何人も見てきた。でも、まだまだ日本で一番じゃない。

日本一成長できるチーム。研究、講義、家族、サッカー。色々なことをしながら、日本一?欲張っている。謙虚さがないと思う。日本一を目指すなら、1つに焦点を当てないといけない。簡単に日本一なんか口にすべきじゃない。そんな批判もあるかもしれない。それでも、一回きりの人生、欲張って生きたい。自分一人じゃない。仲間がいる。だから、できることを積み上げて、殻を破る準備をする。選手だけじゃなく、自分も成長を続ける。自分の可能性を諦めるのではなく、成長し続けることをサッカー部の文化にする。みんながそれぞれ、成長することに貪欲になって欲しい。


数年前の関西選手権、関西学院大学との試合。相手は日本一を目指し、日本一を成し遂げた。自分たちは日本一を目指さなくていいのか?目標設定をリーグ戦の結果だけにしていいのか?同じ一日、同じ大学4年間。与えられた時間は一緒、どこにも誰にも負けない濃密な時間を作りたい。その頃から、何かで日本一を目指そう、と考えるようになった。では、何で日本一を目指すのか?


10年以上前に父を亡くした。もう話すことはできないけれど、大切なときに自分の中の父と対話することがある。大学サッカーが終わっても人生は続く。自分にとって大切な人と同じように、みんなの人生の中に存在し続けるチーム作りを目指す。そう考えた。自分たちのチームの特徴は何か?技術的、経験的、様々な点で劣っているけれど、入部した時からトレーニングを積み重ねて、格上と戦い、結果を追い続けること。育成のチーム。つまり、成長を目指すチーム。よし、成長で日本一を目指そう。こういった過程があり、日本一成長できるチームを目標設定にしている。
共有する大学4年間、同じ何かを目指し、高め合う時間。卒業したあとも、この時間を忘れずに、人生の一部にして欲しい。日本一成長できるチーム。滋賀大経済・DS学部サッカー部のマインドをずっと持ち続けて欲しい。今の自分を超えること、殻を破る準備をし、挑戦すること。



滋賀大経済・DSサッカー部
「ベストを尽くしたのなら言い訳はしない」
「試合に出た奴が試合終わって悔しそうな顔するな」
「チャンピオンのように振る舞いなさい」
「いくら貰えば満足なの?」
「肩書以外で自分を説明できますか?」
「でも、だっては、君の成長を止めるよ」
これまで、多くの人に色々な言葉をもらった。振り返ってみると、その瞬間を必死で生きていたから、もらった言葉が頭に残っている。自分の中に残る言葉は、人生に厚みを作る。履歴書に書くような資格取得や色々な経験をすることも大切だと思う。だけど、僕らは経験によって生きているのではなくて、経験を言語化して生きている。大学4年間のサッカー部生活。ただ過ごした大学サッカー部なのか、たくさんの言葉を自分の中に重ねるのか。僕らのサッカー部は後者を目指している。喜びや悔しさ、情熱を燃やした分、みんなの中にそれぞれの感性で言葉が重なる。そういうチームに関わらせてもらっていることに、本当に感謝しています。




現場に出るのは、水曜と試合だけ、他の時間でミーティングやスカウンティングをしてはいるけれど、限られた時間。トレーニングのオーガナイズも基本的には学生が中心。この条件で選手が最高のパフォーマンスを出せるよう、自分が成長する。これが今、自分で設定している課題。
天然芝のグラウンドのため限られた練習環境、全員が集まって練習する機会が毎日じゃない。勝てない理由を探すのは簡単。滋賀大経済・DS学部サッカー部は、こんな条件の中、学連チームと社会人チームの二つを走らせ、両チームとも高いモチベーションを保っている。選手やマネージャー、チームを支えてくれている人たちの努力を考えると、胸が熱くなる。そんな環境で自分ができること、自分にしかできないこと。みんなが上手くなるために、チームが良くなるために、関わる人が充実感を感じるために。役職ではなく、自分がチームに何ができるか?みんなが成長する手助けをできているか?これからも問いかけ続け、成長し、サッカー部に関わっていきたい。





2019年11月
学連チームは一戦一戦が昇格のかかる戦い。社会人チームは1年間の集大成の試合が近づいている。
やるからには勝つ。
そのためにできること。
サッカーに集中するために、様々なことの細部にこだわる。
やらなければいけないサッカー以外のことに費やす時間の質を高めて、サッカーに集中する。
壁が大きいほど、挑戦する価値は高くなる。
越えられない壁じゃない。
毎年、この時期、チームが完成する。
毎年、この時期のチームが一番いい。
一年間、走り続けて、プレー面や運営面、上手くいったこと、上手くいかなかったこと、自分たちの積み上げてきたことを信じて、残り一ヶ月戦って欲しい



                                                                     監督・榎本雅之


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